【書評】長嶋一茂「乗るのが怖い 私のパニック障害克服法 」

長嶋一茂 乗るのが怖い 私のパニック障害克服法
たっきー
たっきー

こんにちは!たっきーです!私はパニック症状の中でも不安感が一番の悩みです。

最近、テレビで見ない日はない長嶋一茂さんですがパニック障害を患っていることもよく知られています。

長嶋さんは自身のパニック障害の経験を書籍にして発信しているのはご存知でしょうか?

今回の記事では長嶋一茂さんの「乗るのが怖い 私のパニック障害克服法」を読んだ感想を書いていきます。

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「乗るのが怖い 私のパニック障害克服法 」はどんな本?

30歳夏、突然パニック障害を発症し、10年余りの闘病を経て快復した著者。

「孤独と飢えを味方にする」という考えをベースにした体験的克服法。

読売巨人軍の現役選手だった三十歳の夏、神宮の花火大会を見物中、突然、パニック発作に見舞われた。

飛行機、新幹線に乗れなくなり、ひどい眩暈に襲われ、わけもなく涙が出て止まらない。

完全にうつ状態になり、ついには強い自殺衝動が―。

そんな病との闘いを繰り返し、現在「おおむね健康」といえる心身を取り戻しつつある。

なるべく医師と薬に依存しないようにして導き出したその対処法は、「孤独と飢えを味方にする」という考えをベースに、自分と暮らしをシンプルにすることだった。

体験者ならではのリアルかつ具体的、実践的なパニック障害克服法。

著者 長嶋一茂について

長嶋一茂
1966年1月26日、東京都生まれ。
88年、立教大学卒業後、ヤクルトスワローズにドラフト一位入団。
93年、読売巨人軍に移籍。
96年に現役引退後、K‐1リポーターを皮切りにスポーツキャスターを務める。
同時に俳優としても活動。

2002年公開の初主演映画「ミスター・ルーキー」で報知映画賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

元読売ジャイアンツ野球振興アドバイザー、タレント、スポーツキャスター、野球評論家、俳優、空手家。

父は元プロ野球選手・監督の長嶋茂雄、母は元実業家の長嶋亜希子。4人兄弟の長男(第一子)で、弟は元レーシングドライバーの長島正興、妹はキャスターの長島三奈。

「乗るのが怖い 私のパニック障害克服法」の内容は?

目次

はじめに
第一章 私のパニック・ヒストリー
第二章 孤独と飢えを味方にするススメ
第三章 孤独と飢えを味方にする方法
第四章 孤独と飢えを味方にする考え方
第五章 もっと楽に生きるために この病気と向き合って得たこと

第一章 私のパニック・ヒストリー

第一章の細かい項目を書き出しています。

一茂さんがパニック障害を患ってからの出来事が事細かにリアルに書かれています。

読んでいると一茂さんの症状はかなり重度なものだと感じました。パニック障害だけではなくうつ病も併発していたのです。

私生活、仕事の中でのつらい症状についても書かれていますが、一茂さんが仕事を続けたことには感服しました。

第二章 孤独と飢えを味方にするススメ

第二章からは一茂さんのパニック障害克服への考え方である「孤独と飢え」について語られて行きます。

一茂さんは、「孤独と飢えに立ち向かえたら、ほぼパニック障害は克服できる。」と言います。

パニック障害を患ったことで、心身の健康のためには「何事もトゥーマッチはダメ」、食生活を含め現代人の生活がいかに不必要なもので溢れていることに気がついたそうです。

お坊さんの修行を考えても、「孤独と飢え」があります。

それはきっと、「孤独と飢え」が人間を強くするからなのではないかという一茂さんの考えなのです。

一茂さんは、調子が悪くなると、できる限り、食事は一日一食にし、午後三、四時に食事を摂り、お風呂に入り、ストレッチをして、夜九時に寝るのが一番調子が上がると語っています。

満腹感でいるよりも、飢えている方がハングリー精神、闘争心、仕事へのやる気もアップするとも語っています。

下記のように第二章では「孤独と飢えのススメ」と称して、断食や少し哲学的な考え方が披露されています。

とにかく早く治したい、そんな意欲のある人には、断食がおすすめである。
理想的な期間は、三日間。

中略

私の場合、それを二回も繰り返した頃には、頭と体の中に鬱積した色々なモヤモヤがすっかり取れている。
だから、今、脳科学などで、「自分なりの充足度」を得る方法をいろいろ説いているけれど、私は、断食して孤独と向き合うことが一番手っ取り早いと思うのである。

私の場合、ちょっと体調が悪いなとか、今日は何か嫌だなと思ったら、三日は無理でも、一日(24時間)断食は頻繁に実行する。
そして、それをしたら、驚くほど楽になる。

そのシステムを私なりに簡単に説明すれば、こうだ。
ものを食べると血糖値が高くなり、白血球の働きが悪くなる。
しかし、食べなければ血液が薄くなり、白血球の動きが活発になって、風邪のウィルスやら何やら、身体の中の悪いものを全部食べてくれる。
さらに、嫌な自分もネガティブな思いも全部、食べ尽くしてくれる。
まさにデトックス。
それは身体に備わった自然治癒力の一環なのだ。

「でも、そうは言っても断食なんて無理だ」
そう言いたくなる気持ちもすごくよくわかる。
中略
だが、パニック障害をはじめ精神疾患を患っている人には、やっぱり、まずは食生活を改善することを強く提案したいのである。
中略
環境汚染物質や食品添加物、人間関係や仕事の上手くいかないこと、そういうものがどんどん増幅して見えなくなった自分の魂が、断食と食事制限で見えてくる。

実は、パニック障害をはじめ、不安を抱えている人の多くは、足りないのではなく、過剰な何かがあるのだ。
だから、その過剰な何かを取れば、不安はなくなる。
食べ物でも、持ち物でも、情報でも、欲望でも。
昔の修行僧ほどはできないとしても、自分に本当に必要なもの以外は、どんどんそぎ落として、できるだけシンプルにしていく。

第三章 孤独と飢えを味方にする方法

第三章では私も含め、パニック障害に悩まされる人が一番知りたい部分です。

「孤独と飢えを味方にする方法」と紹介していますが、これが一茂さんの重度のパニック障害、うつ病の克服法なのです。

興味深い第三章の目次は下記の通りです。

・夜十時前に三日連続して寝る
・朝日を浴びて、軽い運動をする
・身体を温めるものを食べる
・控えたほうがいい「白物」の食材
・カフェインと炭酸飲料もできるだけ控える
・減量すると人間関係も変わる
・ランニングよりウォーキング
・気候の変化を乗りきる夕方の過ごし方
・デトックス効果も抜群、私なりの入浴法
・ゆっくり吐いて、ゆっくり吸うだけの呼吸法
・乗り物恐怖をやり過ごすためのコツ
・毎日できる、効果的なマッサージ&ストレッチ
・血液検査をし、数値の高いものから落とす
・漢方の上手な利用法
・究極の目標は、丹田開発
・鏡を使って自己暗示をかける
・水回りをきれいにする
・迷った時は、書店に行け
・パニックに効く読書

下記のように第三章では具体的なパニック障害の克服法が理論立てて紹介されていきます。

漢方や東洋医学の世界には、「体調が悪い時は、夜十時前に三日連続して寝ろ」という言い伝えがある。
そして、これはパニック障害の対処法でも、基本中の基になる。

最近、「体温が下がるとガンなどが発生するリスクも高くなる」と言われているけれど、パニック障害においても、「冷え」は大敵だ。
だから、「パニックによい食事」といえば、すなわち「身体を温めるもの」になる。

中略

またアルコールは、パニック障害などの神経系統の病気では、本当は控えたほうが絶対にいいのだが、これまでガブガブ飲んでいた人がいきなり断酒というのは、かえってストレスになる。

いわゆる「白物」、すなわち身体を冷やす食材は、パニック障害の人は控えたほうがいい。
具体的には、白米、白砂糖など。

カフェインや炭酸飲料も、パニック障害にはよくない。

中略

コーヒーは身体を冷やすし、さらにカフェインも多量摂取になるからだ。

第四章 孤独と飢えを味方にする考え方

ここまでパニック障害についての基本的な考えや、対処法について紹介されてきました。

第四章では、下記のような、特にパニック障害に向き合うための具体的な考え方が紹介されています。

「パニック障害は100%自分で治すもの」ということだ。
十余年間の体験から、これだけは本当に「間違いない」と断言できる。

中略

いくら良い対処法を知っていても、「自分で」やらなければ絶対に治らない。
医師はそれを助けてくれるだけ。

「医師や薬に頼る前に、自分がどうなりたいか、どうあるべきかを考える」
そして、それに基づいて、自分の身体と生活を見直し、改めるべきところは「自分自身で」改めなければならない。

「思い切って休む」ということもとても大切だと思う。

中略

「人間、だらだらすることも非常に重要なのだ」
今日からはぜひ、この言葉を忘れないようにしていただきたい。
特に、律儀な人や義理固い人は、この言葉を胸に刻み込んで欲しい。

パニック障害の人は、最終的にはできれば薬に頼らない自分を目指してほしい。

中略

もちろん、薬は時として必要不可欠なものである。私も、これまでたくさんの薬の恩恵を受けてきた。
けれども、私はあえて本書では、しつこいぐらい繰り返し、最終的には薬に頼らないようになる対処法や考え方をお伝えしているのだ。

第五章 もっと楽に生きるために この病気と向き合って得たこと

最後となる第五章ではパニック障害と向き合って得たものについて下記のように語られています。

パニック障害になり本を読むようになって、「人生哲学を学べた」ということが、私にとって一番大きいと、今、つくづく思う。

中略

だから、パニック障害と向き合ってきたこの十余年間は、言いかえれば、「人生を深く考えさせてくれる時期」でもあったのだと思う。

本を読んでくれた人が、ここに書いた具体的な対処法をうまく実践してくれて、根治するまで行ってくれたらもちろん最高だけれども、読み終えて、ちょっと生きるのが楽になったり、自殺を思いとどまってくれたり、何より、「パニック障害なんて怖くない」とちょっとだけその人の魂を悩みから救えたとしたら、本望だなと。

近い将来、パニック障害やうつなど精神疾患を患う人たちに向けて、トークショーみたいな形でクロストーク(お喋り)をする集いが開けないかな、ともかんがえている。

中略

同じ悩みを共有する人間の「生の声」を聴くことで、きっとその人たちも生きることが少しは楽になってくれると思うからだ。

まとめ

テレビの中の長嶋一茂さんからは、到底想像もつかないような、重度のパニック障害とうつ病に悩まされていたことを知ったのはテレビ番組でした。たしか、「金スマ」だったと思います。

本書にも書かれているますが、一茂さんといえば「傲慢」といった印象を持っている人が多いと思います。

しかし、冷静になり考えてみると、一茂さんこそ、パニック障害、うつ病になりやすい環境下にいた人ですよね。

なんといっても、父親が野球界の伝説のスター選手、長嶋茂雄です。

その父親と同じ、プロ野球選手という道を選んだものの結果を出せず、他の選手であればとっくに戦力外にされるような成績でも父親の力でジャイアンツに移籍。

この環境はかなりきつかっただろうと思います。

結果的には、パニック障害を患い、練習に行けなくなり引退を余儀なくされたわけです。

父、長嶋茂雄については「パニックと対極にある親父・長嶋茂雄の生き方」として、本の中でも書かれています。

長嶋茂雄の生き方のすごさ、「余計な情報は入れない。余計な人間関係も持たない。どういうことをすれば精神的に落ち込まないか、どうすれば精神疾患にならないかという術を、本能で知っているのだ」と綴っています。

偉大な父親に対するリスペクトが感じられ野球ファンとしては興味深かったです。

さて、現在の一茂さんの病状ですが、私が知る限り、最近のテレビ番組でも、一茂さんはパニック障害について「完治した」とは言っていなくて、「安定している」などのように表現していたと思います。

私は今、おおむね「健康」といえる日々を取り戻している。

パニック障害の「痛み」は、内臓疾患や外傷のように、物理的にわかりやすく目に見えるものではない。

だから、パニック障害で苦しむ人の多くは、「誰も本当のところを理解してくれない」という孤独感を抱えている。

しかも精神疾患ということで、会社の上司や同僚にも、さらには家族にすら、「自分がパニック障害であると告白するの恥ずかしい」という思いがある。

だから、ますます孤独感に襲われる。

私自身がそうであったように・・・

そんな一茂さんなりの「パニック障害の克服法」が紹介されている本書「乗るのが怖い 私のパニック障害克服法」を読んだ感想ですが、私的には、概ね賛同できる内容でとても参考になりました。

というのも、偶然にも、私がメンタルの不調を感じはじめて一番最初に読んだ本が「中村 天風」の本だったので、根本的な考え方がすごく近いものだったのだと思います。

そしてなにより、長年パニック障害で悩まされ、克服して今大活躍の一茂さんの言葉には重みがあります。

本書で書かれている病のについての過去のエピソードは、心に刺さり、克服法などはとても勉強されているなと感じました。

本書の内容は、テレビで見る一茂さんの印象とは違い、自分の理論を押し付けたり、他を否定するわけでもなくさらっと書かれているのでとても読みやすかったです。

この本を読んだおかげで、克服に大切なのは「食事・運動・睡眠」プラス「考え方」なんだなと再認識ができました。

パニック障害は脳の誤作動なので克服するには時間がかかる場合がほとんどだと思います。

健康的な生活を根気よく続けて、心も身体も改善していく必要があると思います。

発信力のある芸能人の方が病をカミングアウトし、情報を発信してくれるというのは、同じ病の者として、とてもありがたく励みになりますね。

その後の活動もわかるし、特に最近の一茂さんの売れっ子ぶりはすごいですから。

私も本書に書かれている克服法で、すでに実践していたものもありますし、今後取入れたいものもあり、とても参考になり勉強になりました。

もちろん、本書に書かれている克服法は万人に良いとは言えないと思います。

例えば、断食3日間にしても、理論としてはよくわかるのですが、やはり専門家の指導の下で行わないと危険です。

ですから私の場合は、食べ過ぎないこと、腹八分目を意識して食事をしています。

このように一茂さんの克服法を自分でアレンジしながら病の寛解を目指していきたいと思います。

パニック障害以外の精神疾患の人にも読んでもらいたい本です。